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集中力の落とし穴

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こんにちは。

集中力を高める方法は色々と紹介されていますが、今日は集中力の落とし穴についてお話ししたいと思います。

集中しすぎると事故を招く

パイロットや医者など、人の命を預かる仕事では集中力が必要ですが、集中しすぎると逆効果になることがあります。その例を見てみましょう。

ユナイテッド航空 173 便の悲劇

1978 年のユナイテッド航空 173 便は、燃料切れによって墜落事故を起こしています。 機体には何も問題がなかったのですが、飛行中に「ドン!」という大きな音がして、機長は何か故障が起きたと思い込みました。 原因を突き止めようと必死になりましたが、結局何も見つからず、その間に燃料が尽きてしまいました。 実は副操縦士は何度も燃料残量を知らせていたのですが、機長はそれに気づかなかったのです。

あるベテラン医師のミス

2005 年 3 月 29 日にエレインという女性が、副鼻腔炎の手術を受けました。 手術自体はごく一般的でリスクも低いものでしたが、予想外のトラブルが連続して起こりました。 医師は問題を解決しようと奮闘しましたが、その間にエレインは酸素欠乏に陥っていました。 気づいた時には既に 20 分も経っており、エレインは脳死状態になっていました。 医師たちは時計を見て驚き、『まるで信じられなかった。どうしてこんなことになったんだ?いつの間にこんなに時間が過ぎたんだ?』と言っていたそうです。

集中力は時間感覚を奪う

前述の例では、パイロットや医師は問題解決に集中していました。決して怠けていたわけでも無関心だったわけでもありません。 しかし、その結果重大なミスを犯してしまいました。どちらのケースでも共通しているのは、時間の感覚を失っていたということです。

集中力=時間感覚

この現象は実験でも確認されています。ある研究では、学生を二つのグループに分けて異なるタスクを与えました。

  • 一方のグループは、文章を声に出して読むだけの簡単なタスク
  • もう一方は難しい単語の定義を答えるという、より複雑なタスク

タスク終了後、それぞれの学生にどれくらいの時間がかかったか尋ねてみると、

  • 簡単なタスクをした学生は正確な時間を答えた
  • 難しいタスクをした学生は、実際より **40%**も短い時間だと答えた

つまり、難しいタスクをした学生は、集中力が高まることで時間感覚が狂ってしまったのです。

まとめ

この現象は日常生活でも起こり得ます。つまらないことをしているときは時間が長く感じられたり、楽しいことをしているときはあっという間に過ぎたり。

仕事でも同じです。システム障害などの緊急事態に対処するときは時間との戦いになります。早く解決しなければなりません。しかし、集中しすぎて〇時までの報告を忘れたり、他の重要なことを見落としたりすることもあります。集中しているときに集中しすぎないようにするのは難しいですが、意識しておく必要があると思います。

近年では集中力を高める方法が注目されていますが、それだけでは不十分です。集中力にも落とし穴があることを知っておくことも大切です。今回は集中力について少し違った視点から考えてみました。

参考:

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織