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速読は本当にできるのか?遺伝子と環境が決める読書スピードとその向上法
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- yorio0109
目次
こんにちは。
本をたくさん読みたいと思っている人は多いと思いますが、そのために速読を学ぼうとする人もいるでしょう。 速読とは、素早く大量のテキストを読み、理解するための読書技術の一種です。通常の読書速度よりもはるかに早く読むことで、より効率的に本を読むことができるようになるといった魔法のような手法です。
しかし、速読は本当に可能なのでしょうか?遺伝子や環境が読書スピードにどのような影響を与えるのでしょうか?そして、どうすれば読書スピードを向上させることができるのでしょうか?
今回は、これらの疑問に答えていきたいと思います。
速読の種類
まず、速読には様々な種類があります。以下はその一部です。
技術名 | 説明 |
---|---|
スキャンリーディング | テキストを細かくスキャンし、重要なアイデアやフレーズを探し、スキップする。 |
ラピッド・レディング | 単語やフレーズ、意味を俯瞰するなど、読むために必要な要素を最適化する技術を駆使して、効率的に読む方法。 |
スプリット・レディング | 2 つの視野を用いてテキストを読み、2 つの視野を統合することで、高速化する方法。 |
フォトリーディング | 超高速の読書技術で、写真を撮るように本の情報を脳に送り込む方法。 |
速読の真実
しかし、これらの速読技術は本当に有効なのでしょうか?
残念ながら、フォトリーディングのような魔法の速読術は存在しません。 現代社会において、読書のスピードアップを目指す人々にとって、フォトリーディングという魅力的に映る速読術は正当性の疑問があります。1998 年の研究では、フォトリーディングのトレーナーが 1 週間指導した生徒と何もトレーニングを受けなかった生徒では、両者の文章の理解やスピードにおいて差が生まれなかったことが明らかになりました。
その後も、フォトリーディングが有効であるという研究は出ていません。むしろ、普通に読むよりも理解度が悪くなるという結果が出ていることも指摘されています。
読書スピードは何で決まるのか?
では、読書スピードは一体何で決まっているのでしょうか?
2010 年に行われた研究では、読書スピードの約 75%が遺伝的要因によって決まるという結果が出たとされています。
具体的には、以下のような要素が遺伝子で決まっていると言われています。
- 言語と文字:33%
- ボキャブラリー:50%
- 読書スピード:75%
つまり、生まれた瞬間に読書スピードはほとんど決まっているということです。 速読の本などがたくさん出回っていますが、たまたまその方達の遺伝子が恵まれていた結果であって速読の本を読んだからと言って速読が出来るようにはならないようです。
どうすれば速読ができるのか?
前章の通り、生まれた瞬間に読書スピードはほとんど決まっています。 私たちにできることは、遺伝子以外の所を伸ばすしかないようです。
具体的には、以下の二つの能力を鍛える必要があります。
- スキミング:自分にとって大事な所を見つける能力
- 言葉を繋げて文章を作る能力
2016 年の研究では、文献レビューを行い、「速読は可能なのか?」という事を調べました。
ここでいう速読とは、周辺視野を使った魔法のような速読は可能なのかということです。 145 件の過去データを使い、目の動きや周辺視野について調査しました。
結果として、どんなに訓練をした所で、読書に使う約 10%程度しか読書に影響をあたえることができなかったそうです。 ここで 1 番重要なのは現実的な速読ができる人は、スキミングが上手な人、拾い読みが上手な人という事です。 本を早く読むには、言葉を認識して意味のある文章をつなげていく能力、これが最も重要だっという事です。
では、「スキミング」と「言葉を繋げて文章を作る能力」はどうやったら鍛えられるのか? 読書を早くするには、
- 読解練習をする
これが最も近道であると言われています。
つまりは、本を読みまくる以外はこの二つの能力は身につかないという事です。
少々がっかりですね。。
本当に使える速読テクニック
しかし、全く効果のない速読テクニックばかりではありません。以下に紹介するテクニックは、科学的根拠や実践者の声に基づいて効果があるとされています。
読書に集中する3つのこと
本を読む時に意識するべき3つのことは以下です。
- 結論は?
- メインテーマは?
- 自分がわからない単語は?
各章(チャプター)の中で結論やメインテーマらしい所にザックリ付箋を貼っておきます。 時間があれば、この中から最も重要そうなパートを見つけていきます。 当然ながら、結論やメインテーマもありますが、大きなテーマや大きな結論にも付箋を貼ってマーキングしておきます。 要するにこの本で扱ってる著者が 1 番言いたい事は何なのかという事を 1 番最初に探す必要があります。 そうする事で、自分が読み込むポイントが見え、読む速度が上がります。また、情報の取捨選択が取れるようになり、自分にとってさほど重要ではない所は切り捨てることができます。
パーソナルレリバレンス(Relevance 関連性)
この本から学びたい事 本の内容と自分が知っている事、求めている事の共通点 その本を読んだ後に自分の人生がどう変わるか ニューヨーク科学アカデミーの研究で、上記3つを読みながら考える、あるいは読む前に考えると速読ができると言われています。 パーソナルレリバレンスとは直訳すると、「自分ごとにする」という意味になります。 人間は、自分に関係する事柄は自然と自分に入ってくるスピードは早くなります。 例えば、自分の奥さんが妊娠すると電車の中の妊婦さんをよく見かけるようになったり、自分が車を買ったら同じ車種の車をよく見かけるようになったり。
要するに、その本が自分にとってどれくらい意味があるのか、どう人生が変わるのかを考えると人間の本能を使って自然に早く読めるようになるという事です。
キュリオシティギャップ(curiosity 好奇心)
好奇心刺激するような知識ギャップを利用する 人間は未知のものに対して反応するという本能があります。そして、好奇心を感じるとその内容を 71%記憶できるという研究もあります。 また、同時に海馬も活性化されます。
では、キュリオシティギャップを作るにはどうすれば良いでしょうか。
- その本の周辺情報を集める(本のレビューや、著者の経歴)
- その周辺情報について自分が知っている知識をリストアップ
- 周辺情報の自分知らない知識をリストアップ
人間は知らない単語や隙間があると埋めたくなる傾向があります。 つまりは、自分の知っている情報、知らない情報をリストアップすることで、キュリオシティギャップが働きやすくなるそうです。
海馬:脳の記憶や空間学習能力に関わる脳の器官
まとめ
魔法のような速読術は存在しない。 読書スピードのほとんどは遺伝子で決まっている。 読書スピードを早くするには本を読みまくるしかない。 結論、メインテーマ、わからない単語に付箋する。 本から学びたい事、読んだ後に自分の人生がどう変わるのか考える。(パーソナルレリバレンス) 好奇心を刺激するような知識ギャップを利用する。(キュリオシティギャップ) 本を読む事で知識が豊かになり、人生が豊かになると思います。たくさん本を読む事ができるようになれば、より効率的で有意義な時間を過ごすことができるとおもいますので、是非実践してみてください。
以上。お疲れ様でした。